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きょうのきりか  <Written By しのきちさま>

 

きょうのきりか。2156ばん

霧香はぼーっとしていた。
昼食の片づけも終え、午後の空いた時間をいつものように楽しんでいた。
窓から空と雲の流れと目で追い、通りをゆく人々に耳を傾けていた。それに飽き
ると、部屋に視線を移しミレイユを眺めた。
霧香はこの穏やかな時間が大好きだった。
ミレイユは書類を広げ、思索し、キーボードを叩くというデスクワークに勤しん
でいる。その時間、霧香のすることはありていに言えば何もない。ミレイユの冷
え切ったコーヒーを新しく作り直すだけだった。誰に指示されることなく自分で
見つけた仕事のひとつだ。大きめのカップを温め、熱めのコーヒーを注ぐ。
窓の外とミレイユのコーヒー。
ほんの少し前は、漠然とまわりのすべてに意識を拡散させていた。そうしなけれ
ば危険だった。今は愛しいものだけに心を向けることができる時間だ。
霧香はその時間を利用して、色々考えるようになった。
(ミレイユの手はどうしてあんなにきれいに動くのかなー)
(難しい顔してる。でも、あの顔は晩ご飯を何にしようかと悩んでいる顔だ)
(ペンのお尻って味がしないのに、どうして噛むのかなー)
霧香にとって、今はこれが精一杯と言ったところか・・・・。

作業に飽きたのかミレイユは雑誌をめくっていた。視力の良い霧香にとっては、
この距離からでも記事の文章まで読めた。でも、今、ミレイユが見ているのは写
真がメインのページだった。めくっては戻し、まためくりと、気に入ったのか彼
女は何度もその一連のページを見ていた。
(モデルの人が好きなのかな・・・。ミレイユ、こんな感じの人をよく見てるし
。そういえば、叔父さんのクロードさんとか、夏水仙の人とか、ウルジアでの標
的も「うーん・・・手加減しそうだから、こっちは霧香にお願いするわ」と、言
ってたし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
霧香はひとつの結論に達した。それをそのまま口にしてしまうのは、彼女の長所
でもあり短所でもあった

「ミレイユ。あのね、私の顔ってミレイユの好みと違うと思うの。」

仕事に戻っていたミレイユはモニタを注視しながら、躊躇なくあっさりと
「ええ、そうね。違うわ」
いつものことなので慌てることもなく、この女は言い放った。
「・・・・やっぱり」
諦めでもなく安堵でもない、寂しい事実を確認した。そんな返事だった。
「バカねぇ・・・。そんなこと気にしてたの、あんた」
霧香の無表情な返事に何か気が付いたのだろうか、ミレイユはやっと霧香に目を
移した。「ーー今、あのそう思ったことを・・・・」とかなんとか、つぶやく霧
香を手招きする。サインに従い霧香は歩み寄る。
ミレイユの側に立つ霧香はまだ言葉にならないつぶやきを発していた。気恥ずか
しいのか視線を逸らしうつむいたたままだ。
ミレイユは何も言わず、霧香の頭に手を回し、よしよしと撫でた。その目は何か
を諦めていた。霧香は床に視線を向けたままだ。
しばらく、そのまま数秒過ぎた。
ミレイユは、また作業にもどり、霧香も定位置に腰を下ろす。
ミレイユの表情はいつも通りだ、でも、霧香は違った。
(へへっ、撫でられたー。気持ちいい・・・。)
今日もミレイユに、撫でられて幸せな霧香なのでした。

 

きょうのきりか。  2168ばん&#12316;はじめてのちゅう&#12316;

霧香は虫歯にかかった。生まれて初めての虫歯だった。今日はその初診だった。
虫歯はキスで移るという俗説があるが、あれはあながちでたらめでもない。虫歯
菌が親子間の接触で赤ん坊に移るという説もある。
(いやぁねぇ・・・私は霧香の母親だとでも言うのかしら)
ミレイユ、悪態つきながら、にやけております。
「ただいま、ミレイユ。あのね、今日ね、お医者さんに、恋人でもてきたのかな
ぁーって当てられたの。どうしてわかったのかな?」
さすがパリ、エスプリの街に生きる歯医者。こんな子供(のような顔をした子)
に、直球でえぐってきました。
黙るミレイユ。しかし、真っ黒い濡れた瞳(しかも、震えていた)で、説明を求
める霧香に、彼女は抗うすべはなかった。照れ隠しに苦々しい顔をして先の俗説
を説明する。霧香は一度で理解できなかった為、再度噛んでふくめるように丁寧
に教えなければならなかった。

ミレイユ、ぐったり。
(あんたに、あんな殺人技術をたたき込む時間があったら、ユーモアの雰囲気だ
けでも教えておいて欲しかったわ。恨むわよ、アルテナ)
疲労感が現れたミレイユの表情から何を感じ取ったのか、霧香のトドメの一言。
「ちがうの! ミレイユのせいじゃないの!・・・・・・最初はク、クロエで・
・・・」
今日も結局、大人のユーモアが理解できなかった霧香なのでした。


その後
「あぁ・・・・。それね。安心しなさい、一回くらいじゃ平気だから」
「・・・・・・・」
「何よ、一回じゃなかったって言うの?」 
「・・・・・・・・・・・・・一回だけ・・・」
霧香、どういうキスだったかミレイユに実践してみる。 
ミレイユは憤怒に燃えた心のままに誓った。
「あの女っ、今度会ったら、ぶち殺すっっ!」
       
 (いや、もう死んでますから)
       
        

 

&#12316;arouse&#12316;

ミレイユはベットの中で目覚めた。熟睡している隣の霧香を見つめて安心した。
朝の光のが、霧香の産毛に反射してしいる。霧香自身が輝いている様だった。
ミレイユは柔らかい温もりにに満足していたが、眺めるだけでは飽きたのだろう
、手を伸ばし霧香に触れた。
頬に触れ霧香の体温を確かめる。額から髪に手を差入れ、何度も髪を梳いた。
そして、頬にキスを一つ二つ。鼻に瞼にと次々に唇を落とす。
が、霧香が目覚める気配はない。
ミレイユは続けることにした。

霧香の体を抱き寄せる。ブランケットの下、二人は何も身に付けていない。霧香
のきめ細やかな肌を全身で感じる。首筋から鎖骨へと指先でゆっくりなぞり、そ
のまま肩から腕へと滑らせる。軽く握られた霧香の手を開き、指を絡ませ、堅く
握る。
愛しい人をつなぎ止めたまま、更に霧香を抱き寄せ、うなじから背中に指を何度
も這わせる。
霧香が微かに反応した。
ミレイユはそこでようやく唇にほんの軽いキスをする。舌で唇をなぞる。霧香の
少し開かれた口から舌を差し込み相手の舌を探し、もてあそんだ。霧香の唇がそ
の行為に答え始めた。

自身の欲情が高まりつつあることを楽しみながら、ミレイユは霧香の欲望をコン
トロールしようとしていた。そうすることで目の前の人のすべてを手に入れたよ
うな錯覚に溺れるために。頭の冷めた部分で、霧香を選択肢のない状況まで追い
つめることに背徳を感じながら、それをやめることができなかった。
「これは私が選んだ道」
「相棒は闇を植え付けられた」
プレフォールとの教会での会話を思い出し、今、自分が霧香に逃げ道のない状況
に追い込んでいるのを自嘲していた。
(ふふっ、これくらいは許してもらえるわよね)
莫迦らしいことを思い出した自分を、そう評することで彼女は今の行為に没頭す
ることにした。

そうして自分の熱と相手の熱情を計りながら、ミレイユは行為を進める。だが、
それは彼女にとって両刃の剣だった。霧香に触れながら、自分がどうにもならな
い程高まっていく。
しかし、まだ霧香はやっと何をされているか気づいき、なんとか半眼に開いてミ
レイユを見るのが精一杯だった。
そのぽんやりとした瞳をのぞき込み、ミレイユは首筋を軽く吸った。
霧香の体が返す反応に充分満足し、満を持して
「ねぇ・・・霧香・・・」
ゆっくりと熱い吐息と共に、耳元で霧香を促した。
まだまだ睡魔が勝るのか、霧香はぼんやりとミレイユを見つめるだけだった。
ミレイユはあわてずもう一度、先の言葉を囁いた。
「ねぇ・・・・霧香・・・」
「夢の中でたくさん済ませたから、もう充分なの・・・・」

霧香はそう答え、しっかりと熟睡していった。くーーっという寝息まで聞こえそ
うな見事な寝姿だ。
体を触れ合わせている分、ミレイユにはそれがなんの偽りのない事実だと言うこ
とが理解できた。完全に脱力した霧香を抱き、為すすべはなかった。
今までの熱い高ぶりをどうしろと、取り乱すこともできる。だが、彼女の決断は
早い。
一瞬、ミレイユは右に左に視線を泳がせ、
「ふふっ、さすがは私ね。夢の中でも完璧に済ませたようね」
自分で自分を褒められる大人のミレイユなのでした。

 

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ノワール繋がりで親しくして頂いている、オフメンバーの
長女しのきち姉さんから頂戴した、私の誕生日プレゼントSSです。
甘い!甘すぎて萌えすぎておっ死にそうなくらい、でも、随所に
ちりばめられたギャグがええ塩梅、かと思えばラブですよラブ!
なんというか、三回転くらいするジェットコースターに5回乗る
みたいな快感?そういうのが素敵すぎるノワールSSです。
姉さんは酔ったイキオイで書いた(これを書くにあたって、ストリチナヤが
1本無くなった(んでしたっけ?)らしい)とおっしゃってましたが
こんなハイクオリティなもんが酔って書けるというのだからスゴイ。
タンカレー(ジン)贈ったら、ぶぶなつSS書いてくれるかなぁ・・

いや、もう、ほんま幸せな誕生日でした。ありがとうございました!
そして公開が遅くなってごめんなさい。
挿絵を付けようと思っていたのが遅くなった原因なのですが、小話
3話ともお話の雰囲気が違うので、最終的に絵をつけない方がええかも?
と思ってやめましたー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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