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Precious memories
「…自分がもらって嬉しいなあ、ってのを考えて決めればいいんじゃない?」 「欲しいものなぁ…うーん」 「えっと、物じゃなくても、されて嬉しいこととか? 「どういう意味だ?舞衣…」 胸元を意味ありげに見るルームメイトの舞衣を横目でにらみながら、ナツキは
夜半。
明るかった陽射しは早くに姿を潜め、夜風がせわしなく窓を鳴らしていく。 「もうこないな時間・・」 そう呟いて、机上の写真立てに目をやる。 「ナツキは寝たはるんやろなぁ」 長い指がナツキの細い線をなぞる。 「ナツキに、会いたいなぁ」 片時も離れたくなくても、恋人同士である以前に2人の関係は「先輩と後輩」 「…うちも寝よ」 ナツキには明日会えるんやし、と、自分を納得させるのもシズルの日課のひとつだ。 「明日は寒いんかなぁ・・」 冬場にはよくあることだ。
「ばんばんばん!ばんばんばん!ばばばばん!」
・・・明らかに不自然な音がした。
「・・・どちらさんどすか・・?」 シズルは窓の端に立ち、右手を掌底の形に握って構えた。
「ししししししシズル、さささささ寒い中にいいいい入れてくれ」
あろうことか、窓の外にはコーラルの制服を着たナツキが、ロープでぶら下がっていた。
「へっくしゅ!」 「あらあら…大丈夫どすか?」 ベッドの上で毛布と掛け布団にくるまりながら震えるナツキに湯気の立つカップを 「ホンマに、もう…寒かったやろ?とりあえずそれ飲みよし」 うん、と返事をしたナツキは、鼻をすすりながら勧められたミルクティーに口をつけた。 「…うまい」 「ほんま?部屋にはお白湯しかあらへんさかい、即席のんしか作られへんで堪忍なあ」 「でも、凄くうまい」 「そう…おおきに」 隣で布団を被り両手でカップを包んでふうふう飲む幼げな仕草が愛しくて堪らない。 「シズル?」 ナツキは驚いたように一瞬だけ身を固くした。 「…まだドキドキしてますわ… くすくす笑いながら、ナツキに頬を寄せる。 「・・・せやけど、ホンマ嬉しい・・・。」 自分の間抜けな姿を後悔しているのか、顔を真っ赤に染めて、怒った様な表情を
「・・ん?なんえ?」 「・・・・本当は、もっとスマートにやるつもりだったんだけど・・」 そっと、シズルの肩を押して、抱き合っていた身体を離した。 「?・・」 驚くシズルに鼻先が触れるくらいずいと顔を寄せる。 「誕生日、おめでとう。シズル」 囁きがふわりとミルクティーの香りを伴って、唇に重なった。 「・・・・ナツキ・・」 至近距離で囁かれる吐息の熱さに眩暈がしそうになりながら、ナツキはシズルを 「・・いままで、誰かの誕生日を祝いたいと思ったことがなかったし、
ナツキの言うとおり、シズルは学園内で絶大な人気を誇っている。
「ナツキ・・・おおきに・・・うち・・今まで生きてきた中で最高の誕生日やわ・・」 「大袈裟だな・・まぁ、喜んでもらえたなら私も嬉しいが。しかし・・」 「・・・どないしたん?」 「お前、実際欲しい物って無いのか?」 「ないこともないんやけど・・」 「・・なんだ?言ってみろ」 聞けるものなら聞いてやるぞ?と自信満々に答えるナツキに、シズルはにっこり笑って、言った。 「ナ・ツ・キ。が欲しいわぁ」 「そうか私か・・・・って、はいぃぃぃぃ!?」 「舞衣さんがうつってますえー」 「うるさい!舞衣は関係ないだろう!!だいたい私は欲しい"物"と聞いたんだ。私は物か!?」 「欲しい"者"と違いますん?」 「揚げ足取るな!」 「そないムキにならんでも・・・ほな、ナツキ貰うんは来年にしときます。 「はぁ・・もう、何だ?」 ナツキはやや疲れた顔で、言ってみろ、と先を促した。 「もっかい、おめでとうのキス、してくれへんやろか?」 「はぁ?!」 「なぁ、あかん?」 色っぽく強請るシズルにやられたのか、真っ赤な顔をして、あぅと呻いていた
「おおきに」 「それから、私を選んでくれて、ありがとう・・・それと」 「・・・なんえ?」 「・・・・大好きだ」
殆ど消え入りそうな声で呟いた愛の言葉は、重なる唇に吸い込まれていった。
---------------------------------------------------------------------- 遅すぎやろ!感もしなくはないですが、すごいよシズルさん生誕記念です。 |
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